昔、私には年上の知り合いがいました(今は亡くなりましたが)
知り合った時、私40代の半ばでした。
その年上の女性は80歳くらいに見えました(実際はもっと若かったのですが)
その方は腰と足が悪くて、立ち歩きが不自由でした。
それで、「遊びにおいで」と誘ってくれたりしました。
私も時々おじゃましました。
ある時、その方が園芸のカタログを見ていました。
足腰が不自由なので、買物はほとんど通販を使っていらっしゃいました。
そのカタログには紫のバラの苗が載っていました。
「このバラを買おうと思うの、3年くらい経てば、家の垣根を覆うと思うの」
私はびっくりしました。だって私の目には、その方が80代に見えたからです。
「あと3年って、このバラが大きくなるまで、この人は生きているつもりなのかしら?」
大変失礼なことに、私はそんなことを思っていたのです。
私が80代だと思っていた方は実際は70代初めだったのかもしれません。
何年かたって、そのお宅に伺うと、紫のバラが、見事に咲き誇っていました。
私は自分の不明を心の中で詫ました。
人間、何をするにも遅すぎることはないんです。
歩いていて、どこかのお宅で紫のバラを見る度、私はそのことを思い出します。
3年後を思って種を撒いたら、花が見られるかもしれません。
「もう遅い」とは思わず、いつも希望の種のようなものを撒いておこうと思うのです。
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